「フラクト」を連れて小さな旅に出た。
どのような旅にも、多かれ少なかれテーマのようなものがある。文具好きの場合、愛用のシステム手帳に記録を残し、人生の糧となる記憶としてしっかり刻みつけるなんていう目的の旅が多々あるものだ。今回のテーマはベルト付きの「フラクト」と旅に出て、その魅力を体感してみること。
システム手帳は優れた記録装置だけど、付属のポケットやアクセサリーリフィルを増設することで、普段使いのカード、小物類を機能的に収納できるストレージ機能も大きなアドバンテージだ。
「フラクト」を手がけているのは革サイフを作っている腕利きの職人。手帳の中面には仕切りの片方を縫わないことで余裕を持たせ、ゆったりと収納できるようにする「ふらし」というサイフ職人独特の技で合体した本格的なポケットがある。私たちの旅にシステム手帳は欠かせない。ならばシステム手帳以外の旅の小道具もまとめてこの1冊に収納して、軽快な旅に出かけてみようと思い立った。この使用記を読んで「ああ、私も旅をして、愛用のシステム手帳に土地それぞれの思い出を残してみたい」なんて気持ちになっていただけたら嬉しい。
どのような旅にも、多かれ少なかれテーマのようなものがある。文具好きの場合、愛用のシステム手帳に記録を残し、人生の糧となる記憶としてしっかり刻みつけるなんていう目的の旅が多々あるものだ。今回のテーマはベルト付きの「フラクト」と旅に出て、その魅力を体感してみること。
システム手帳は優れた記録装置だけど、付属のポケットやアクセサリーリフィルを増設することで、普段使いのカード、小物類を機能的に収納できるストレージ機能も大きなアドバンテージだ。
「フラクト」を手がけているのは革サイフを作っている腕利きの職人。手帳の中面には仕切りの片方を縫わないことで余裕を持たせ、ゆったりと収納できるようにする「ふらし」というサイフ職人独特の技で合体した本格的なポケットがある。私たちの旅にシステム手帳は欠かせない。ならばシステム手帳以外の旅の小道具もまとめてこの1冊に収納して、軽快な旅に出かけてみようと思い立った。この使用記を読んで「ああ、私も旅をして、愛用のシステム手帳に土地それぞれの思い出を残してみたい」なんて気持ちになっていただけたら嬉しい。
「フラクト」はおサイフ手帳として理想の機能を持つ
「フラクト」の象徴的なデザインでもある中面左の大型ポケットには、ファスナー付きポケットと2つのササマチポケットがある。今回の旅ではここに紙幣、コイン、観光施設のチケットや領収書などを収納した。表面側にポケットが合体しているので、出し入れしやすく、リフィルとの干渉もない。世の中はパンデミックなどを経てキャッシュレス化が大きく進んだ。買い物や支払い、電車移動など日常の行為がスマホやICカードなどに集約している方には、このようなシステム手帳のおサイフ化もおすすめだ。
中面右には「ノックス」独自のデザインである天地アオリポケットがある。ポケットの天地(上下)のほぼ中央に切れ目があり、全体がフラットで段差がなくスマート。切れ目からはハガキ(A6)サイズくらいのカードや書類を差し込むことができる。普段の仕事使いではA4書類を2回折り畳んで収納している。またアオリポケットの下段にはスリットポケットがあり、今回の旅ではここに交通系カードを入れて活用した。
リング径は16mmでリフィル収納力も十分
「フラクト」のリング径は16mmで、かなりの枚数のリフィルを綴じることができる。今回の旅では冒頭から次のようなリフィルを組み合わせ、インデックスで分類して活用した。
ゆったりとした旅に出る度に感じるのは手書きの良さ。旅に効率は求めない。バスの時刻表や食の記録も手書きがいい。手書きした文字には、時間と空間が刻まれる。なにげない書き込みでも後から見返すと書いている時の気分を思い起こすことができるし、筆致から周囲に広がっていた空間までも推し量ることもできる。見返した時の記録の臨場感は手書きが圧倒的に強い。
使い込むほどにペンホルダーの機能美を体感
「フラクト」のペンホルダーの作りは絶妙だ。使い込むほどに機能的なデザインの良さを体感できる。ホルダー部の長さは約10cmで、ペンの軸部をすっぽり覆って保護してくれる。外側に向かって縫製してあるのでリフィルやインデックスと干渉することがない。ホルダー部の上下の開口部は独特の曲線を描いており、ペンの抜き挿しはとてもスムーズだ。今回はさらにペンホルダーリフターを装着してボールペンとペンシルの2本を携帯。これで旅にペンケースを持ち歩く必要もなくなった。
ベルトで固定するとペンホルダーはリフィルに沿うように内側に寄る。「フラクト」の剣先ベルトは革を2枚重ねして、上のパーツが取っ手として機能する。このパーツのおかげでベルトの抜き挿し動作はとても軽快だ。着脱はスムーズに、挿し込んだら確実に固定して抜けることはない。ベルトに求める相反する2つの条件を、この剣先ベルトは美しい機能美で体現している。
「フラクト」は旅に誘うシステム手帳
自分が勝手に定義している良い文房具の条件がある。それは行動を促すデザインと機能を秘めていること。美しいペンが目の前に横たわっていると、理屈抜きに握って書いてみたくなる。佇まいが書くことを求めてくるペンは素敵だ。
「フラクト」は旅へ誘う。この1冊にすべてを詰めてどこかへ行きたくなる。佇まいの美しさは、いつでもどこでも持ち歩いて、触れて、開いて、なにかを書いてみたくなる知的な欲求を刺激する。心持ちを上げる力こそ、新しい時代が求める良い文房具の条件だと思う。
また旅に出よう。旅から帰ってリフィルをめくって回想していると「フラクト」が静かに語りかけてきたような気がした。
「フラクト」は旅へ誘う。この1冊にすべてを詰めてどこかへ行きたくなる。佇まいの美しさは、いつでもどこでも持ち歩いて、触れて、開いて、なにかを書いてみたくなる知的な欲求を刺激する。心持ちを上げる力こそ、新しい時代が求める良い文房具の条件だと思う。
また旅に出よう。旅から帰ってリフィルをめくって回想していると「フラクト」が静かに語りかけてきたような気がした。
文・写真/清水茂樹(編集者・文具ディレクター)
1965年生まれ。
2004年に日本で唯一の文房具の定期誌「趣味の文具箱」を創刊。2016年からはシステム手帳の魅力と最新情報を発信する雑誌「システム手帳スタイル」を発刊。2009年から2022年まで日本文具大賞(ISOT)審査委員。
現在は主にシステム手帳の商品企画と、魅力の発信に取り組んでいる。
1965年生まれ。
2004年に日本で唯一の文房具の定期誌「趣味の文具箱」を創刊。2016年からはシステム手帳の魅力と最新情報を発信する雑誌「システム手帳スタイル」を発刊。2009年から2022年まで日本文具大賞(ISOT)審査委員。
現在は主にシステム手帳の商品企画と、魅力の発信に取り組んでいる。
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