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2025.04.10 NEW
リフィル

メモリフィルを知り、使い分ける

システム手帳は綴じる用紙=リフィルを自由に選べる。どんなリフィルを使うかは自分の好み次第だが、各々の特徴を知って用途や目的に合わせて使い分けると、より有意義になる。
「ノックス」には定番リフィルが20種類以上ある。今回はその中でもユーザーの多い「DP用紙」を使用したメモリフィルに注目し、方眼、罫線(横罫)、無地などの罫線バリエーションの特徴と適した使い方を知ろう。
「ノックス」の方眼リフィルは控えめな罫線が大人気
格子状の罫線を印刷した方眼罫は、数学・科学などの分野で手書きのグラフを書く用途として生まれ、製図やデザインの分野でも広く使われてきた。等間隔の罫線をガイドにして図表やグラフ、イラストなどを記入しやすく、行頭や段落を整えて文字サイズや行間を揃えやすい。整理された見やすいレイアウトにしたい人におすすめのフォーマットだ。箇条書きで記号を使い分けるバレットジャーナルにも方眼罫が向くと言われ、フリーハンドでも罫線を引きやすく縦横の罫線でページを分割する使い方にも適している。横書き・縦書きのミックスもしやすい。リフィルを横向きで使うのにも向いている。

「ノックス」には「メモ2mm方眼」と「メモ5mm方眼」の2種類の方眼リフィルがある(ミニ5サイズは「メモ5mm方眼」のみ)。共通する大きな魅力は、罫線が限りなく控えめに設計されていることだ。いかに「控えめ」なのか。各方眼罫の交差部を顕微鏡で拡大してみた(下写真左はバイブルサイズのリフィル全体。右が拡大したもの)。
メモ2mm方眼
メモ5mm方眼
いずれも方眼罫は実線ではなく、微細なドットが連なった「破線」であることが分かる。この隙間がポイントだ。万年筆やフェルトペンなどインクを紙に浸透させる水性ペンの筆記線は罫線でインクがスキップしがちだが、「ノックス」の方眼罫はこの破線の隙間にインクがしっかり入ることで、筆記線が分断されることがない。罫線色は極薄のグレートーンになっており、どんなインク色も邪魔せず、シャープペンシルや極細のボールペンなどで書くコントラストの低い文字も、罫線に埋もれずしっかり見える。
ぺんてるのサインペンで筆記して、顕微鏡で拡大してみた(写真下)。
「ノックス」メモ2mm方眼:筆記線がしっかり方眼罫に乗っている
「ノックス」メモ5mm方眼:こちらも筆記線がしっかり方眼罫に乗っている
他社製5mm方眼:実線の方眼罫が筆記線を分断している印象を受ける
「ノックス」の方眼リフィルは、書く時は目障りにならず無地のような感覚で使えて、文字を揃えたり線や図表などを書き込んだりする際には適度なガイド線になる方眼罫の魅力をしっかりと味わえる。特に2mm方眼はその特長が際立ち、方眼と無地の「いいとこどり」をした優れものとして高く評価され、「ノックス」リフィルの象徴としてダイアリーなど多くのリフィルにも使われている。
「メモ2mm方眼」は5mm方眼よりも詳細な図や細かい文字の書き込みがしやすい。
文章書きに向く「罫線」の罫線幅を選べる
文字を整えて行が揃うことを重視するなら、横方向に一定の間隔で線を引いた横罫を選ぼう。横罫は文章書きや箇条書きに適し、日記や読書録などの雑記帳、メモ書きに向く。
「ノックス」の横罫リフィルは「メモ罫線」という名称で、7mm罫、6mm罫、5mm罫の3つの罫線幅が用意されている(ミニ5サイズを除く)。罫線色は青味がかった濃いグレーの実線で、右上にはページ番号やタイトルを記入できる枠がある。上下端の罫線は本文より太く、5か所にドットがあり、縦に区分しやすい。さらに6mm罫は中央部にも太い罫線があり、上下で分けて片面2分割、見開き4分割で使うこともできる。

この3種類から、どれを選ぼうか。
最も重視すべきは、あなたがそのリフィルで書きたい文字のサイズや、使いたいペンの字幅だ。下の写真のように、太めの字幅で大きめの文字をゆったり書きたいなら7mm罫(左)、細い字幅で小さい文字をたくさん書くなら5mm罫(右)、その中間なら6mm罫(中央)がしっくりくる(ペンはステッドラー ピグメントライナーの線幅違いを使用)。
書きたい情報量にもよる。当然のことながら、罫線幅とリフィルサイズによって1枚当たりの行数は異なり、字詰めの加減にもよるものの書き込める文字数が変わる。例えばバイブルサイズの7mm罫は21行、6mm罫は24行、5mm罫は30行であり、上写真のように、同じ内容を書いても使うスペースが異なるのだ。たくさんの情報を書き込みたいなら、より細い罫線幅を選ぶと良いだろう。
リフィルサイズによって罫線幅を使い分けるという人もいる。重視すべきは「筆記しやすさ」「視認性」「用途」のバランスだ。A5など大きいリフィルはスペースがたっぷりあり、手を動かせる範囲が広くて見渡しやすいため、5mm罫など細めの罫線幅で細かい文字をたくさん書く会議メモや勉強などに向いている。ミニなど、簡単なメモとして使うことの多い小さめのリフィルは、罫線幅が広い方がぱっと見て文字を視認しやすい傾向があると言われる。
罫線にとらわれず自由に書きたいなら「無地」
「メモ無地」リフィルは、自由に書きたい人におすすめ。無地のリフィルは罫線に沿って書かなければ、という意識にとらわれず、「書くこと」に集中できる。「罫線に制限されない」は「発想を制限されない」につながり、クリエイティブな思考を引き出す作業にぴったりだ。マインドマップやアイデアの整理、ジャーナリング、ラフスケッチやデザインの構想メモなどに向いている。時には大きな文字でゆったりと、時には小さい文字で細々となど余白や行間も自在に調整できる。文字と絵を組み合わせる、シールや付箋を貼る、スタンプを押すなど、自分でレイアウトを工夫して楽しみたい人にも向いている。
試しに使って好みを見極める
このようにメモリフィルの罫線の種類は、用途や目的に合わせて使い分けるとしっくりくる。しかし前述したように、最も重視すべきは自分の好みだ。まずは様々な種類のリフィルを試し、使ってみて、自分が心地良く快適に使いやすいと感じるかを見極めよう。好みのリフィルに出合うと書く時間がさらに楽しくなり、書く習慣が持続して、システム手帳があなたのより良い相棒に育っていく。
文・写真/井浦綾子(編集者)

1971年生まれ。
2004年から約20年間、日本で唯一の文房具の定期誌「趣味の文具箱」や「システム手帳スタイル」の編集に従事。現在も文具雑誌を中心に、文具の魅力の発信に取り組んでいる。
本コラムで紹介した製品
リフィル メモ2mm方眼 100枚
バイブルサイズ
521-514
440円(税込)
・ラインアップ
・ONLINE SHOP(楽天)
リフィル メモ5mm方眼 100枚
バイブルサイズ
521-513
440円(税込)
・ラインアップ
・ONLINE SHOP(楽天)
リフィル メモ無地 100枚
バイブルサイズ
521-507
440円 (税込)
・ラインアップ
・ONLINE SHOP(楽天)